プロジェクト担当インタビュー
事業開発部 課長
越渡 英雄
不燃公社の使命と理念を体現する
まちを守るための不燃化プロジェクト
Profile
勤続年数 | 26年 |
---|---|
役職 | 事業開発部 課長 |
業務内容 | 再開発事業や防災街区整備事業のコーディネート業務 |
保有資格 | 再開発プランナー、宅地建物取引士 |
どんな学生でしたか? | |
大学のゼミでは市民参加型のまちづくりについて学ぶ一方で、陶芸三昧の学生生活を送っていました。陶芸は今も続けていて、教えていたりもしています。作品のアイデアを考える際には、完成形をイメージしながら作ることが大切なのですが、どこか仕事にも共通するものがあるように思います。 |
-
融資保証部
-
中高層住宅部
-
住宅金融公庫出向
-
再開発部
-
事業開発部
ものづくりか、まちづくりか
大学時代は、サークルでは陶芸、ゼミではまちづくりを学んでいたので、ものづくりか、まちづくりができる仕事を探して就活をしていました。「再開発」をキーワードに就活サイトを検索したときに、当社の説明会をみつけて参加したのが入社のきっかけです。
最初は融資保証部(現:賃貸経営支援部)へ配属され、3年目には中高層住宅部(現:賃貸経営支援部)という部署に異動になりました。その頃から、少しずつ成果を出せるようになって仕事が面白くなっていきました。
その後、住宅金融支援機構へ出向し入社11年目にしてやっとまちづくりに関わる再開発部へ異動になりました。再開発はあまりにもやることが多岐にわたっていて、一言では説明しづらい仕事ですが、それまでに融資保証部や住宅金融支援機構へ出向して、一定のサイクルでオーナー様とともに資金面から賃貸住宅経営を考える仕事を数多く経験したことで、まちづくりの事業を進めていくための基礎体力をつけられたように思います。
住民が安心して住めるまちづくり
社名の通り、災害に強い燃えない建物、安全なまちをつくっていくことが当社の使命です。
東京の山手線の外側では、多くの木造住宅が建て替えをされないまま残っています。風情を残している一方で、そこに住む人々にとっては、災害の危険性と隣り合わせの状況が続いています。
関東大震災の復興住宅として建てられた建物である同潤会アパートの再開発、中延二丁目旧同潤会地区防災街区整備事業は、私にとって2件目となる防災街区整備事業でしたが、木造密集の解消という喫緊の課題に、地権者である住民の総意をもって再開発ビル(マンション)に建て替えることができました。
建て替えによって安全・安心で快適な住まいとなったことを喜ぶ住民の方々をみて、あらためてこの仕事の意義の大きさを感じました。もちろん、その過程は簡単なことではありません。同事業の中でも最大級であり、事業を最短のスケジュールで実施しなくてはならなかったことや多くのスタッフと目標を共有し、遂行したことはプロジェクトのハイライトでした。しかし、それ以上に住民のみなさんの思いが私たちをつき動かしていたように思います。完成から5年経つ今でも交流があり、私の財産ともいえる仕事にもなりました。
期待と覚悟を背負い、住民とともに成し遂げた仕事
中延二丁目旧同潤会地区防災街区整備事業では地元からの要請で事業推進のためコーディネーターを担当することになりました。同じ品川区内の防災街区整備事業の荏原町駅前地区や、同潤会の建て替えで多くの地権者の意向をまとめてきた私たちの実績をかわれてのことでした。
大きな震災や火災など、災害によって住む場所が危険にさらされる不安を解消し、どのように災害に強いまちに変えていくか。まちづくりは、地権者である住民、行政、企業が一体となって取り組んでいかなければいけません。
新たな土地に新しいものを建てる開発とは違って、そこに住む人々の事情はそれぞれに違うなか、住んでいる人々の生活を守りながら、どのように変えていくか。人々の声に耳を傾けながら、さまざまな意見を調整し、まちづくりを支えていくのが、私たちの仕事のやりがいでもあり難しいところでもあると感じています。
東日本大震災での教訓から、災害時には帰宅困難者の受け入れをできるようにしたり、防災倉庫を区に貸すこと等、荏原町駅前地区で取り入れた事例を提案しました。その他に中延では、かまどベンチや、非常用のマンホールトイレ、防災井戸なども設置し、災害時に住民の生活を守る工夫がされています。また土地が細分化されて消防車が入ることのできなかった狭い路地も、歩道をつくり防災に対応した緑の溢れる空間に整備されました。こちらの建物は、東京都も木密地域解消モデルの一つと捉えていて、よく視察などにも来られます。
木造密集地域の課題を解決し、防災機能を取り入れたこの物件は、さまざまな賞もいただきましたが、何よりこの事業の最大のポイントは、住民、行政、事業協力者、この事業に関わる人々の思いが一つになったことです。それまでなかなか進捗しなかった再開発が歩み出し、5年という短期間で竣工を実現できたのは、そこに住む方々の強い思いにほかなりません。
印象深いのは、この案件に参加することになって最初に理事会に出席させていただいたとき、この事業の課題は何かという質問があったことです。多分あれは、本当にこの地区の事情をふまえて一緒に取り組んでくれるのかという、私たちへの期待と覚悟に対する問いだったのだと思います。
大変だった場面は、一番が何かと言えないくらいありますが、時間をかけて信頼関係を築きながら、新しいまちに再生していく再開発の仕事の醍醐味を味わわせてもらいました。ここにくれば、住民の方に「最近どう?」といったように声もかけていただきます。何より、日々地震や火災に不安を抱えることなく安心して暮らせるまちになって、住民の方からもよかったと言われることが一番うれしいです。ここ数年はコロナ禍の影響で、防災訓練や住民同士のコミュニケーションを図る機会がなかなかつくれなかったと聞いてます。今後はまちづくりの一環として、ハード面だけでなくソフト面からもサポートしていきたいと思っています。
中延二丁目旧同潤会地区
旧同潤会戸建地区の共同建替事業、不燃化特区
(東中延一・二丁目、中延二・三丁目地区)コア事業。
- 事業地区
- 品川区中延二丁目旧同潤会地区
- 地区面積
- 0.70ha
- 敷地面積
- 5,696㎡
- 所在地
- 東京都品川区中延二丁目3
- 事業期間
- H26年~H31年
- 関係権利者
- 140名
- 物件名
- アトラス品川中延
- 建物延面積
- 16,440㎡
- 規模
- 13階
- 建物用途
- 住宅(195戸)
Gallery
プロジェクトを終えて
これからは、エリアマネジメントが重要になると考えています。建てて終わりではなく、竣工して数年は私たちが支えながら、その地区がまちとして機能し自走していくための仕組みを再開発事業のなかに組み入れたい。そこで得られたノウハウが、きっとこれからのまちづくりにも役立つと思います。将来的な話でもう一つあげるならば、私の目下の最大の関心事は後進の育成です。できるだけ若い人には成功体験を積ませてあげたい。もちろん、再開発の仕事自体は、そう一筋縄でいくような仕事ではありません。時間もかかります。ただ、住民の方とともに難しい問題を解決できたときの喜びは、他ではなかなか得られない経験だと思います。
※本ページの内容は取材当時のものです。
Other interview & Cross talk
Funenkosha Recruit Site
募集職種や詳細、エントリーについては、以下よりご確認ください。